事業主であれば「売上」や「利益」などの数字と日々追われている資金繰りとはまったく別物と常々実感されているでしょう。
※売上増でも資金繰りは改善されず
売上増に伴い仕入や人件費などの費用も増大します。特に仕入の費用は、売上発生前に必要な資金であり、毎月が増加傾向の場合、それに応じて仕入に必要な資金も増大します。売上が増大している局面では、それを支える費用も増大することも常に念頭に置いた資金管理が必要です。
※「掛け」や「手形」は資金管理が複雑に
また「月末締め、翌月未払」などの「掛け取引」の場合、実際の取引と資金の出入りとの間に時間的な隔たりが生じ、資金管理が複雑になり注意が必要です。また日本特有の商慣行である「手形取引」の場合、資金の流れをさらに複雑にし、リスクも増大しますから(できれば使わない方がよい)、厳密な資金管理が必要です。
自分の会社や事業の会計記帳を会計事務所などに依頼している場合も少なくありませんが、個人事業や小規模法人の場合、経営者自らが資金繰り表を作って資金管理をおこなうことが大切です。
※「回収は早く、支払は遅く」が基本
資金繰りを改善するための具体的な手立ては多くありません。「借入しかない」と判断する前に、改めて検討すべきことは資金の「出」と「入」のタイミングに無理や矛盾をなくすこと。基本は「回収は早く、支払は遅く」です。
「月々の数字は悪くないにのに、いつも資金繰りが大変」と悩んでいたある建設業者は、取引先と交渉して「月末締め、翌々月7日払い」という条件を「月末締め、翌月未払」に改善し、「資金繰りがすごく楽になった」と喜んでいますが、こうした努力も経営者の大切な仕事です。
2007/1/29付商工新聞 K&K経営労務コンサルティング 金井育生)
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